スターに〜粋な振付家を偲んで

深川秀夫先生が亡くなられました。

たくさんの名作、快作、素晴らしい振付家にして素晴らしい舞踊家でした。
創られる作品はいつも'女性はうんと魅惑的に!女性らしく!'でありました。
古典バレエの主人公達はフェアリーな少女性が素敵ですが(もちろんそればかりではありませんが)、深川作品の女性達は一線を画し、たっぷりの色香で私はいつもドキドキ観ていたものでした。
代表作はたくさんありますが、私が最初に振付家:深川秀夫を認識しキョーレツなインパクトで虜になったのは『アリスの夢』という作品でした。
ちょうど高校生の頃夢中になったイラストレーター金子國義氏が美術を担当し1980年に当時の文化の発信地・原宿ラフォーレミュージアムにて上演されました。もちろん初演を観に上京出来るほど高校生の私に経済的余裕もなく、どこからか手に入れたチラシを観てはため息混じりでうずうずしていました。
いつ、どこでの記憶がないのですが、めでたく『アリスの夢』を観るに至りました。
どのシーンをとってもお洒落で、きわどい品がありました。上質な遊びゴコロは深川作品の真骨頂ではないでしょうか。

また、振付作品だけでなく素敵で素敵で仕方がなかったのがcurtain callです。
客席を一瞬で取り込んで何度も寄せては返す。終わりたくないメリーゴウランドのようです。
知らないうちにニヤニヤが止まらなくなりました。

秀夫先生とお仕事をされた人は、その感覚や呼吸に学ぶ事が多かったようです。
私はその機会には巡り合わせがなかったですが、客席からいちファンとして、ただひたすらに心躍る事ができ幸運でした。

粋でチャーミングなアイドルは、本当のスターになりました。

ご冥福をお祈りします。



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