スタジオ風景〜赤いシート〜

愛車がそろそろ12万5千の走行距離を越えようとしています。
チョコレイト色のボディーに、赤いシートがお気に入りでついつい次に浮気する気になれない。
メンテナンスはしているけど、狭い路地でも走るので傷もあり。だけど、"道具"と思っているので擦った位なんのその、少々ホコリを被った方がカッコいいとさえ思っています。
高い器もヴィンテージジーンズも、使ってこそ価値があると思います。

そんな助手席にいちばん登板回数の多いのは、やはり娘で。愚痴も悔しい涙も寝息もずいぶん聞いたし、同じだけ一緒に笑い合いました。

  その次は父かな。
もう、乗ってくれることは叶わないけれどあの人はどんな渋滞でも飽きることなく車窓の景色を眺めていました。手術をするまで、ずっと現役でずっと急いでは仕事してゆっくりする時間がなかったからそんな他愛もない時間を噛みしめていました。病院までの長い道のりだって私の隣で何時間もパノラマを愉しんでました。

   今はレッスン終わりの生徒と最寄の駅までの束の間ドライブです。幼稚園の時からの付き合いなので、私もスイッチオフでまったりの時間に心地よきです。
ずっとこんな時間が続けば良いなぁと思いながら、いずれ大人になるにつれ変化していく遠くて近い未来を考えたりします。旅行に行くまでは楽しくて、始まったら終わる事を考えて寂しくなってしまう、アレと似ています。

   思春期の生徒達の中には、このシートで心模様を吐きだす子もいました。
悩みの中にどっぷりはまっているうちは、その問題が宇宙の中心のような錯覚になります。他人と比べたり、自分を諦めてしまったり。どうしたいとかではなく、そう感じている事を知っておいて欲しいとか。
どの子にも当てはまる事ですが、答えはもう少し先にあるようです。とにかく車を降りた時には、少しスッキリすると良いなぁと思います。


ーこの赤いシートは色んな世代のシーンと一緒に走りました。ほどよい距離感で同じ景色を見ている。
いい場所だなぁと思います。

PS.ここまでブログを書き上げていたのですが、今日の最終クラスの後にひょっこり嬉しいお客が!卒業生のサキ!もっとも濃い思春期を預けてくれた1人です。私は彼女に鍛えられ、彼女もわたしと組み合った。
想い出の中でも筆頭に飛び出す生徒です。
今は東京を拠点においているのでそう簡単には会えないけれど、ひょっこりとこんな風に現れる。嬉しい再会でした。
沁みる夜です。
彼女のことは又、書きたいと思います♪

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