中原淳一のことば


『いま、古いと言われている人間の習慣や

生き方のなかには、

事実、切り捨てなければならないようなものも

数多くあるでしょう。

 

しかし、そんなものばかりではないはずです。

何千年もの長い年月を生きてきて、

その積み重ねから、

人間を一番しあわせにする

基本のようなものが出来上がってきて、

それから今日まで続いているものなら、

それは、人間という動物の本質的なものだとも

言えるのではないでしょうか。

 

だから、ちょっとした興味本位な思いつきや、

無責任に作り上げられた風潮で

「そんなの古い」と

片づけてしまえないものもたくさんあるはずです。

 

「いつまでも古くならないもの」

それこそがむしろ

もっとも「新しい」ものだとはいえないでしょうか。

 

 

昭和46年

中原淳一』


時代の新しい風を取り込み、変容し続けているのが古典というものですよね。


P.S.只今 大・大断捨離を決行中です。実家の私の部屋。かつて自分が青春を送った時間が、様々な形で出て来ました。中原淳一氏をはじめ、なかなか気の利いた本を沢山収集していた様です。そんな中からの響く一編を。

本は数年後に読むたびに、感じ方が違いますでしょう?