劇場と呼べる場所

先日  生徒と連れだってフェスティバルホールに大阪フィルハーモニー×バレエ公演を観に行きました。音の洪水、圧倒的な存在感の3組のグランパ・ド・ドゥ。

今日は中身のお話しではなく、空間=場所についての思い出を。

バレエ公演を初めて観に行ったのが、ここ大阪フェスティバルホールでした。小さかった私も、私の先生に連れだってもらい出掛けました。緊張に似た気持ちは、初めて全幕バレエを観るというよりも、 皆が正装して出掛ける大人な世界に足を踏み入れる ときめきの方が強かったかも知れません。
先生とふたりきり、置いて行かれないように、迷子にならないように、いっぱい歩いた気がします。慣れないエナメルの靴は履きなれなかったけれど、誇らしく嬉しかった記憶を鮮明に思い出します。特別な場に行く時には、きちんとした装いを揃えてくれた母にも感謝です。(靴が磨かれていたり、髪留めがリボンに変わるだけでも)

改装前のフェスティバルホールを知るファンの間で盛り上がるのが、地下の食堂です。先生について行く時は、いつもあの雑多なカウンターの食堂に立ち寄りました。お出汁の香りがプーンとする食券で注文するビジネスマンご用達のお店。いつも一張羅のワンピースが汚れないように、先生の隣ですするお蕎麦は、子供心になんて不味いものと思っていました。その頃の私はお子さまランチのチキンライスに立っている旗や 、真っ赤なケチャップのかかったオムライスの方が魅力的だったのですもの。

今でも堂々と存在するフェスの赤い大階段を見ると、そんな思い出があぶり出しのように出てきます。すっかり化粧直しがすみ、どこも燦然と輝くホールですが、きれい過ぎてどこか他人行儀に思うのは私だけではないはずですね。

大阪フェスティバルホール。
唯一無二の場所。
まさに劇場と呼べる場所です。

(投稿:kazumi)