近頃こども事情

よく大人達の口をついて出る台詞に『時代やからね〜』があります。こと、師弟関係で成立するお稽古ごとであるバレエの環境では、へビーローテーションのように、やや やるせない溜息と共にポトン ポトンと吐かれます。

急ぎすぎる毎日、削除しなければ容量オーバーな経験、思い出は心の日記帳ではなくSDカードに詰め込み…。
諦めに似た気持ちを持て余します。

だから、子供たち120%毎日 懸命なんです。

でも、つい自分の子供時代と比べてしまいます。それしか材料がないので。私の幼少期は目上の人の言うことが第一。バレエ教室においては、挨拶が出来なければレッスンもうけさせては貰えませんでした。
ですから、'時代'と言われようと 挨拶をはじめ”ぜったいに譲れない”ところは、生徒達に厳しく教えようと頑張ります。が、先日 ちょっと考えさせられる事がありました。

舞台が終わって初めてのレッスン時に、生徒たちは皆『舞台、ありがとうございました』ってご挨拶に来てくれます。その日学校帰りにやって来た子は、姿が見えた時からランドセルの肩紐もずれ落ち すでにお疲れモード。『おはようございます』は言えても、3日前の舞台の事は忘却の森。。。残念ながら感謝の気持ちを交換する事が出来なかったのでした。もちろん、うっかりだったのでしょうが、なぜ『ありがとうございました』と云うのか。_つい忘れてしまったのかもしれません。(私自身こういう時はこうあるべきだ、と先輩方から口伝いで教えてらったので『そういうもの』と刷り込まれて来ただけでした。)…ならば、意味を教えなくてはなりません。納得したなら、子供たち拾ってくれる筈なのだから。

と、同時にね。もう1つの感情でずっと自問自答しています。
放課後 お疲れマックスでやってくる子供達の、拠りどころであるこのスタジオ。心を擦り減らして、ランドセルの肩紐をずらして…もう、ここに集ってくるだけで充分とも思ってしまいます。


〈プリエやタンジュが始まる前に、もう少していねいな時間が必要なのかもしれません。バレエのこと、マナーのこと、私が何度も繰り返し言うことは”やるべき”事なのよ。大きい声で飛ばす注意はアドバイスであって、怒っている訳ではないのです。よ? (笑  〉

とにかく『時代やからね〜』の言葉で、割り算してもまだ余りある程、近頃の子供たちは闘っているのだなぁ と痛感しています。
どうか耳に痛いことも素直に聴ける、柔らかい心の状態でいつもいてほしいです。

(投稿:kazumi)